日本的建築について
- 2020.04.27
- 建築
僕の手元には「Space – Japanese Design solutions for Compact living.」という本があって、何の本かというと「空間 – 簡素な生活のための日本式デザイン法」と無理やり訳してみたけれど、西洋的な価値観である「大きいことはいいことだ」よりも「立って半畳、寝て一畳(tatte hanjo nete ichijo)」的な狭さを楽しむことを日本の現代建築から学びましょうという本がある。
驚いたのは「The Western ideal,・・・・larger is better」というくだりで、西洋の理想は大きいことである、と明言しているのだ。西洋の理想だなんてすごく大袈裟と思ってしまったが、それに対するジャパニーズ・ソリューションなので、かなり「贔屓のひきたおし」的に楽しめて読めた。
現代風茶室から茶道のエッセンスをとり入れた店舗空間、生活空間などを多数の写真入りで紹介している。どの例にも共通して言えることは、「軽やかな素材」で「仕切りはないか、あっても簡易な」つくりであること。モノトーンもしくは素材や色数をかなりギリギリまで制限していることなど、逆にこちらが勉強になるくらいだった。
大事なのは、こうしなければいけないではなく、こうやって楽しむのだよ、という姿勢の方だとわかった。茶室の躙り口なんてどう考えても楽しい仕掛け以外の何物でもない。
われわれ日本人は、贅沢よりも質素であることを美徳としてきたと思っていたが、事はそう単純ではない。単純な二元論では哲学として昇華できないし、質素=我慢となってしまってなんだか騙された気分になる。そもそも美徳(美しい徳)であることの論理的構築がないではないか。
ではわれわれ日本人は何を理想とすればよいのか、「Japanese ideal」とはなにかを考えてみたい(と、ここから本の紹介を離れて自由な空想に浸ってみます)。
佐藤 隆幸
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