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住まいと形態

  • 2018.08.06
  • 建築

形態(=ゲシュタルト)を単なる形の特性の枠に留まらせずに、認知、知覚もしくは我々の意識の領域まで拡大させたのはモーリス・メルロ=ポンティで1942年のことでした。

音楽を例にとってゲシュタルトをわかりやすく解説すると、音符とメロディの関係。もしくはピアノと音楽の関係としてとらえるとわかりやすいと思います。
たとえば音符。音符それ自体はただの記号で、味もそっけもないものです。しかし音符がいくつか集まってそこからメロディが生まれます。音符というただの記号の集まりから、私たちはメロディを感じ取ることができるのです。
またピアノも木と鉄線とフェルトでできたただの道具ですが、キース・ジャレットがピアノの前に座った瞬間、人類の宝である芸術が誕生します。

この差は何なのでしょう?

私たちはただの「物」の集まりから美しさを感じ取ることができます。もしくはただの「物」から美しさを表現することができるのです。これがメルロ=ポンティが「知覚の現象学」で発展させたゲシュタルトの考え方です。
相互互換的で、関係的で、射影的。物からストーリーやメロディや美を自らの内に、意識の内に構築(という言葉が適切かどうかわかりませんが)するのが私たち人間の特性で、おそらくアプリオリです。

もうお分かりかと思いますが、以前このブログで書いた「モノ」と「コト」との関係性をちゃんと分析したのが、ゲシュタルト心理学でありメルロ=ポンティらの哲学者です。
住宅は、木質や石膏やコンクリートでできています。それらを寄せ集めたところでいい住宅は作れません。または、どんなにいい材料や製品をそろえたところで、そこにゲシュタルト的な意識なり関係なりが欠如していては、暮らしの豊かさは得られません。

暮らしは物に頼らず、感性を投影することからはじめること。いいデザインとは、その感性の邪魔をしないものでありたいと、いつも思います。

 

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