つみきのいえ
- 2015.05.01
- 建築
住宅は「箱の産業」から「場の産業」へと転換する、大転換期の産業なんだそうです。
箱(=モノ)よりもそこで営まれる暮らしのほうが大切という、
当たり前のことにようやく産業界自体が気が付いたのでしょうか。
もうひとつ。
マーケティングでいえば、
ライフ・スタイルからライフ・コース(電通)へ視点を転換するんだそうです。
今現時点の住まい方(=スタイル)に照準を合わせるのではなく、
これから、または将来(=コース)を見据えた住まい方の提案とでも言いましょうか。
これも「今さら」ですが。
当然といえば当然なのですが、
上の2つにいえることは、「点」から「線」へ、
「静」から「動」へ私たちの住まいや暮らしを捉えなおそうという大きな流れがあるといえます。
やっとここまで来たかと思うと同時に、
こんなふうに私たちの住まいを安易に語ってほしくないなあとも思います。
これではまるで住まいは「消費」されるものではないですか。
と前置きが長くなってしまったのですが、
今日紹介したいのは『つみきのいえ』(仏題:La maison en petits cubes)。
短編のアニメーション作品です。
最初は港町にあった家が(なぜか)海面上昇で海の中に沈んでいきます。
だからこのあたりの家はみな、上へ上へ増築していくことになるのです。
ひとり暮らしのおじいさんは、
うっかり落としてしまったパイプを拾うため家の中を潜水していくことになるのですが、
そこで見たものは・・・。というあらすじ。
もうおわかりと思いますが、
潜水して下へ下へと潜っていくにつれ「過去の」家の風景に出会うことになるのです。
おばあさんやひとり娘との思い出が、アクアラングを着たおじさんに去来します。
僕はこの映画を見たときに、住まいの本質がここにあるのではと思いました。
ひとつの家族の歴史、かけがえのない家族の思い出。
そのバックグラウンドミュージックである住まい。
けっして消費の対象であってはならない住まい。
マーケティングなどという安易な言葉で語ってはいけない住まいのほんとうの姿がありました。
DVDだけでなく絵本もあるようです。
興味のある方はぜひ観てみてください。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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