声がとどく・手がとどく
- 2016.04.19
- 建築
住宅のスケール感が好きです。
といきなり書くと何のことかわからないでしょうから、わかりやすく書きます。
自分の手のとどくくらいの大きさが好きだなと思うわけです。
建築家の仕事といえば、国立競技場だったりスカイツリーだったり、
とにかく人間が作るとは思えないスケールの大きな仕事がクローズアップされがちですが、
大きなプロジェクトってなにか現実離れしているような気がするのですね。
もともと大きな建造物を見ると足が震える性格なので。いやほんと。
住宅のスケールがいちばん自分の性にあっているのでしょうけど、
大きなものより小さなものが仕事として充実する気がします。
スタジアムのコンサートより居心地のいいカフェのライブとか、
アメ車のキャデラック(古い?)よりイタ車のフィアットとか。
以前ゴンチチのお二人がアンプを使わずに生音だけでライブをやったそうで、
どんだけ小さなホールなんだよって思ったんですが、
なんだかそういう気持ちってすごくわかります。
きっと自分の声のとどく範囲がリアルな空間として実感できるからで、
大建築のような構造が自分の意思を離れて増殖するようなイメージが、なんだかなあ。
というわけで、こうして人の大きさを意識しながらプランニングしています。
家づくりで大切なことは、家族の距離感。
いわゆる「間取り」だとか「動線」だとか家をパズルか作業場のように考えるよりも、
声がとどく・手がとどく、といったことを感じながら考えたい。
だって人が考えて人が造るものですから、そういうことってとても大事なことなんじゃないかと思います。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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