大分の自然素材で建てる新築・リノベーション。日本ハウジングは家を建てる前も建てた後も豊かに暮らすサポートをしていきます。
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お客様:『いとしや』社長 大杉天伸さん

プロフィール

大分県佐伯市生まれ。高校を卒業後、上京。大学卒業後、大手家具専門店に入社。インテリアの基礎知識と経験を4年半積み、家業を継ぐために帰郷。1996年、いとしや大分店をオープン、「アフター9のリラックス」をテーマに暮らしに心地いい、こだわりのセレクト商品を提案している。2002年に日本睡眠環境学会から「睡眠環境コーディネーター」の認定を受け、現在は「睡眠環境診断士」として“眠りの本質”を様々な場で啓蒙活動中。知識・経験・体感へのこだわりから、オリジナル商品の開発も手掛けている。現在、OBSラジオ「快適睡眠のすすめ」に出演中。

3.睡眠環境と住環境。どちらも健康寿命を左右する

馬場
大杉社長は睡眠環境診断士という資格をお持ちなんですよね。実はずっと知りませんでした(笑)。
大杉
ただの睡眠に詳しいおっさんやなと(笑)。
馬場
よく寝る方かと(笑)。
二人
(爆笑)
大杉
睡眠環境研究機構という、今はNPOに格上げされた機関があって、睡眠環境診断士はそこから認定される資格なんです。
睡眠環境っていろんなデータを取るので、お医者さんや工学博士、繊維に詳しい先生などで組織している機構です。

睡眠環境について正しい知識を伝え、改善してもらうことが目的ですね。

人間は一人ひとり違うので、痩せている人にはこのマットレスは硬すぎるとか、女性にはこの枕は高すぎるとか、診断していくのが診断士です。
研修を受けて試験に合格した人が、機構からそういう資格をもらうんです。
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馬場
いつごろ発足されたんですか。
大杉
この前に睡眠環境学会という任意団体があって、それが15年くらい前かなぁ。
その時は睡眠環境コーディネーターという資格だったんですが、今は診断士というところまできました。

まぁ、ビジネスベースではとてもやってられないですよ。
馬場
そうでしょうね。わかります。
大杉
こんな時間かかることやってられん、というような実験をやるんです。暇な学生を使って、裸にしてセンサーを付けてね(笑)。

それと今、睡眠障害を持っている人が年々増えていて、都会では睡眠外来の予約が取れないくらいなんですよ。
馬場
へぇ、そうなんですか。
大杉
そういう現場にも行きます。
私たちは川崎の太田睡眠科学センターという所に行きました。睡眠障害のある人が一晩泊まって、センサーを付けて脳波などを調べる、というような医療の現場に立ち入っていく。

深く眠れたかどうかは体温が関係するので、直腸の温度を測るんですよ。
お尻の中に体温計を入れなきゃいけないので、誰がやるかジャンケンして決める。運よく私はセーフだったんですけどね(笑)。
馬場
それだけで眠れなさそうですね(笑)。

大杉 まぁ、そうやって睡眠障害の人の睡眠の質がいいか悪いかを測るわけです。
そういうことも知っていないとお話できないので。
馬場
実は建築業界も、やっと最近そういう動きが出てきたんです。
同じく工学や医学の専門家と組んで、医療費を削減するにはどうしたらいいかと。
さっきの健康寿命をいかに延ばすかというお話のとおり、まさにそのデータ取りをしているんです。

全国で2万軒のリフォームについて、断熱性能がここからここへ上がったら人間のバイタルデータがどれくらい改善されるか、いろんな面から調べています。

その実験がメチャクチャ大変なんですよ。だから「もうやってられない」というの、よくわかります。
大杉
ははは、そうなんだ。
馬場
お客さんにも手伝ってもらわないといけない。2週間いろんな機械を付けて生活してもらうんです。

でも、それで家の環境と人体の健康との因果関係が証明されれば、家を改善するという1回の投資で、その後健康でいられる可能性が飛躍的に上がることになる。
大杉
我々が確信を持って動くためには、そういう地味なデータが、やっぱり必要ですね。

でも人ってなかなか予防では動かない。ほとんどの人が、そうなってから慌てて動く。
馬場
本当にそうですね。
大杉
でも予防が必要ということを先に知った者は、伝え続けなければいけない使命があると思う。

効率とか損得でなく、時間をかけて出てきたデータをちゃんと受け止めて、どう真摯に伝えていくか、ということですね。

単純に考えたら、そんなことやってられんわ、となるんだけど、ほとんどのところがそう思うんだったら、じゃあウチがやるわ、と(笑)。
馬場
僕もそう思います。
建築の場合、家の寿命の方が人の寿命より絶対長いんです。家は後世に残っていく。
なので、皆さんは個人の資産で国の資産を作っているんですよ。
大杉
あ、そうか。
馬場
そう言っちゃうと、個人の方に負担がいってしまうんですけど、でも僕はそう思っているんです。

リノベーションなどには特に顕著に表れるんですが、自分が余生を過ごすだけなら、そんなにお金かけて性能を上げなくていい。
でも子や孫の代までちゃんと使えるようにしてあげたい、という方がお金をドンと使うんです。そうするとお子さんやお孫さんは、もう手を入れなくていい。

海外の方はそういう意識が強いんですね。もともと家は壊さない。資産だという意識があるので。
日本はまだその意識がないから、世代ごとに誰かが家にお金をかけないといけない。
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大杉
それを誰がやってくれるか、ということですね(笑)。
馬場
そうなんです。でも次の世代にいいパスをするんだという意識が、だんだん生まれています。
そうなってくると、日本の家はどんどんよくなってくると思います。

何年か前からハウジングプアということがよく言われますよね。ヨーロッパの人は日本人とそんなに年収は変わらないのに、なんで1ヵ月もバカンスに行けるのか。
日本人は馬車馬みたいに働いて、睡眠まで削ってるのに、なんでこんなに苦しいのかと。

向こうの人は、家が資産としてちゃんとしているから、ハウジングにお金を使わなくていいので、可処分所得が非常に大きい。
日本人は、建てて壊して、また建てて、返済、返済を繰り返している。それがハウジングプア。

昔は土地の値段が上がっていたので、売却するといい循環になっていたのが、今は逆ザヤでそれがさらに加速する。
大杉
それ、実感するなぁ。 ドイツに行った時、ミニ菜園がいっぱいあって、何かと思ったら、週末用の家庭菜園なんですね。
小さな小屋もあって、家族みんなで週末に来て、庭いじりしてランチ食べて帰る。
日本じゃ考えられないもんなぁ。

そういうことなんですね、わかりました。
馬場
本当に豊かですよね。
日本も、今の流れをやめないといけない。今の時期に悪い家を建てるのは、犯罪なんです(笑)。もう終わりにしないと。
大杉
なるほどね。国家レベルの犯罪ですね(笑)。
馬場
本当にそうなんです。 ただ単に売ればいいなら、そんなことは考えなくていいんですが、後世の人のことを考えるという視点に立つと、真面目にやらないと・・・。

リノベーションをしていると、前の人がどんな仕事をしているか、よく見えるんですよ。相手が素人だと思ってこんな仕事して、というものもある。

ウチの会社がそう言われないように、後の人から「素晴らしい仕事してるな」と言われるようにしたいですね。
建築は1回建てたら後が長いですから。
大杉
布団も同じですね。
昔は布団屋さんってどこでも、布団を手作りしてたんです。
だから、布団イコールその店のポリシー。

次に打ち直しに出した時に、あそこはこんなに手を抜いてる、というのがわかる。周りだけ新しい綿にして中に古い綿を入れていたり、ということもあるんですよ。
馬場
そうなんですか。
大杉
布団って中を見ることがないのでね。まぁ家も壁の中を見ることはそうないと思うけど。

最終的に日本人が一番大事にしていることは、「恥ずかしくないように」ということですよね。

商売には、恥ずかしい儲け方と、恥ずかしくない儲け方がある。
スポーツにも、恥ずかしい勝ち方、恥ずかしくない負け方がある。
日本人が応援するのは、やっぱり負けても賞賛されるような負け方ですよね。

ビジネスもどんどん欧米型のいい部分は取り入れないといけないけど、最終的にはこの仕事が恥ずかしくないか、そこが大事なことかなと。
馬場
その通りですね。
最初の話に戻りますけど、これって世の中とは真逆をいってるじゃないですか。

実は、このまま走ってもいいのかなと、確認のために話したんです。どうも大杉さんは走ってらっしゃるみたいだから(笑)。
大杉
ははは、そうだね。
走ると、石に突っかかって転んだり、思わぬ水溜まりにはまったり。でもその時にいろんな力やアイデア、感性が生まれて、たぶん成長するんだと思うんです。
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