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お客様:バリトン歌手 渡辺弘樹さん

プロフィール

大分市生まれ。国立音楽大学音楽科声楽専攻を首席で卒業、イタリアへ渡る。同年、フィレンツェ国立歌劇場の声楽国際オーディションに最年少で第1位合格(劇場では唯一の東洋人)。2006年、日本人として初めてフィレンツェ歌劇場と終身契約を結ぶ。オペラ「運命の力」でズービン・メータと共演。その深く、厚く、柔らかいベルカント唱法は「まれに見る声とテクニック」と定評がある。これまでにシュターン、バッソ、マジェーラ、アバド、ムーティ、メータほかの指揮者たちと共演。現在、フィレンツェ歌劇場専属歌手。フィレンツェ市在住。

1. 歌手も労働者

馬場
渡辺さんは大分からイタリアへ出て活躍されていますが、
日本人として、という気持ちは常にありますか。
渡辺
僕はよく「お前はナポリ人だ」と言われます。
日本人という意識はどこかにあるんだろうけど、
自分からそれを出そうとはしてないですね。
国ではなく、人ですから。
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馬場
そうですよね。
渡辺
例えば、イタリア人は仕事しないようなイメージがあるけど、働いている人は日本人以上にマジメに働いてます。頑張って仕事しても給料は一緒だからと、テキトーにやってる人も多いですけどね(笑)。

劇場の場合でいうと、雇用主の家は代々雇用主ですごい給料をもらう。
労働者の家は常に労働者で、よっぽどのコネでもないと上の地位にいくのは難しいんです。
馬場
そんな中に渡辺さんはどうやって入っていったんですか?
渡辺
僕なんか上じゃない、一番下です(笑)。
劇場で使われている歌い手や踊り手は、労働者ですよ。
馬場
アーティストじゃないんですか!?。
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渡辺
日本だと、好きな歌が歌えていいよねーとかよく言われますが、 イタリアでは劇場で歌うことは仕事。音楽が仕事として認められているんです。
馬場
歌手も労働者なんですね。
渡辺
「アリとキリギリス」の物語って日本にもあるでしょう?
あれはもともとギリシャの話で、本来は「アリとセミ」だったらしいです。
日本では、夏の間アリは働き続け、キリギリスは歌って過ごして、冬になって食べ物がなくなった時、アリは頼まれて分けてあげるんですよね。
でもオリジナルは、アリに断られて、セミは飢え死にするんです。
馬場
えっ、そうなんですか!?
渡辺
この間、イタリア人の歌い手の友達とその話になって、日本みたいな結末だったら、イタリアではみんなキリギリスになるよね、って。
夏は歌ってて、冬になったら「ごめん、食べる物ないんだー、分けてー」って泣きつく(笑)。

今の世界では、アリの生活をするより、キリギリスやセミの生活をした方が人間的かも知れないね、と友達と話したんです。
馬場
最後のシーンで、アリが笑ってるか、セミが笑ってるか。 面白いですね。
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